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おじらむ初めて物語(完):らむおじですよ。 [番外編]

此方は浅海由梨奈さんのみ、お持ち帰り・転載可能です。



凍てつく焔

R-15

登場人物:おじさん ベルトラム
(ラムおじ)
(エロくない)







凍てつく焔


一年前の彼ならきっと男を抱くだなんて天地がひっくり返っても御免だ、とでも言ったのだろう、ベルトラムはベッドに投げ出した足の間、ふぅ、ふぅ、と鼻に抜けるような息遣いでそれを舐め、吸う男から与えられる射精感に、それ以上の満足感を味わいながら男の後頭部を掴んだ。何時もは上に撫で付けられた黒髪は今は柔らかく、ぐぐ、と喉奥まで挿れられて、息苦しくなった男は上目遣いでじろりと睨む。普段は色眼鏡で見えない肉色の瞳は、この角度からなら見えて、舌の動きが明らかに性感の用途から癖のようなものに変わり、男が舌打ちをしようとしたのだと解った。場に不釣合いとも思える、落ちてしまいそうになった黒を指で戻す仕草に、ベルトラムはつい笑ってしまいそうになる。
後頭部に手を置いたまま、ベルトラムは自分勝手に腰を前後にゆるゆる動かし始め、先程まで生温いとも思えた行為を急速に早めた。男は広く厚い舌をベルトラムのもの全体に絡め、手で扱くように頭を使い、自分のものをごそごそ弄りながら、その自分本位な動きに付いてくる。この先の行為に進みたいのは互いに同じだが、中途半端なままこの場を収拾出来る程、互いに器用な体に出来ていない。強引に尿道口を抉られ、ベルトラムは頭が白くなるような快感に腰の動きを止め、頭を掴む指を髪に絡める。お返し代わりに腕を伸ばし、指先で胸を探ると眉が切なげに歪む、探り当てた乳首を強く引っ張り上げ、爪先で無い穴を抉れば堪らずに口を離しそうになった口内の奥の奥まで味わえる。
この場で性感を我慢する必要は無い、強い射精感に抗わず苦しむ声をあげる喉の奥に直接流し込む。どく、どく、と射精に合わせて鼓動が強く打ち、なんの躊躇いも無く男は喉に絡まる精液を飲み下した。粘膜の入り口が少し開いたままの尿道内に残ったものも、じゅるじゅるとわざとらしい音を立てて飲み込まれ、更に劣情を煽られたベルトラムのものは一度出したばかりだというのに、芯を持ってまだ萎えていない。ベルトラムは指を抜き、男の口から犯すものを引き抜く。唾液でてらてらと濡れたそれは、浮き上がった太い血管の上に白混じりの先走りを乗せていて、男はそれを一舐めすると顔を上げた。どこからどう見ても男、柔らかい胸もむしゃぶりつきたくなる太腿も無い、ただの同族とちょっと違うだけの男。そんなやつに煽られて、それでいて堪らない気分にさせられている、男の頬に色の付いた筋を残す物を指で掬い、薄く硬い唇にぐりぐりと口紅代わりに塗る。
「で、お前は何か潤滑油代わりになる物は持ってないのか?」
仮にも唇に精液を塗られたのだから、何かしらの反応が返ってくると思ったというのに、まるで日常会話でもしているかのような調子にベルトラムは眩暈がした。お前は自分の下半身が如何なっているのか解らないのか、それが同性相手にサキュバスの真似事してる時の態度か、ベルトラムの中に思う事も山ほどあったが、今も感情どころか行為の最中ということすらフッ飛ばしてしまいそうな死んだ魚の目を覗いて、考えるのを止める。数テンポ遅れて唇を這う舌、顰められた眉、ベルトラムは終ぞ知ることはなかったが、男は濃い精液の味の余韻でこの段階、唇に何か塗られたことに全く気がついていなかった。悪戯にまだ抓んだままの乳首を捻る、油断からの刺激に熱い息が吐き出され、ひく、と男のものが震えたのが見えて、やっぱりこれは性交であることを実感させる。
強く瞑られた瞼が開き、抗議の視線がベルトラムに向けられた。指を放す、摘み上げられたそこは強い刺激に薄赤く腫れており、イクことが出来ないまま快楽を欲して振るえるものと合わせて、見ているだけで嗜虐的な気分をそそる。ちらちらと視線を他へ移し、使えそうな物が無いものかと思い起こすが、生憎相手にするのは女か半分女か、あった時は向こうが勝手に用意して好き勝手した後に片付けてしまうのだから、必要になった試しが無くそれらしい物は無い。疲れきったような溜息は男の癖だ、いっそ無いならしょうがないから使わない方向で、と思考を巡らせていたベルトラムの名を静かに、淡々と一言呼ぶと、返事をしようとした口に指を三本纏めて無遠慮に突き込んだ。突然の衝撃に跳ねた体を、男は体重を掛け半分圧し掛かる体勢になって押え付け、ベッドに縫い止める。
「俺の為を思うなら舐めろ」
今更ひっくり返されては堪るか、と圧し掛かられた体重に尚も抵抗を止めない彼に対して、男は場に不釣合いな響きを持った『お願い』をした。先程まで男が自分のものに絡めていた指、先走りの味が微かにする。口の中を弄りまわす指に舌を取られ、時に指で挟まれて苦しい思いをしながら、少なくとも今度こそ危害を加える気は無いのだと、ベルトラムは抵抗を弱め、心成しか掛けられる体重が軽くなった。開放された手で伸ばされた手首を掴み、普段無理に咥えさせられるそれと同じ様、舌で溜まった唾液を汲み取り、指の節にたっぷり塗りつけて奉仕すると、指を舐めている筈の動きは別の物への刺激を連想させ、銜え込んだ指を引き抜こうとすると、癖として仕込まれたのか硬く尖った舌先が爪の間を撫で上げ、バランスを取る為ベッドに突かれた指が強く握られる。強く寄る眉根にベルトラムはまた、暗い優越感に悦ぶ。
上に来られて男の目は色眼鏡に阻まれて見えないが喉仏がぐる、と蠢くのが見えた。両膝と片腕だけで全身を支える不安定な体勢、やっと息を自由に出来るようなったベルトラムの視界に映った男の指は唾液を滴らせ、胸の上にぽたぽた糸を引いて水滴を落とす。男の後ろに回された腕は、その先に起こることへ迷いがあるのか緩慢な動きで自分の尻の谷間を辿り、奥まった場所の入り口まで届いた指をまだ固いそこに押し当て、一息震える息を吐き突き立てる。鋭い犬歯の生えた歯がぎりり、と食い絞められ、低い呻きがベルトラムの腹の底に響く。一体視界の見えない部分で何が起こっているのか、言わずともそれは解ったが、何故自分一人で済ませてしまおうとしているのか、深く指を突き入れようともがくごとに体重を支えきれなくなり、突っ伏して首元に顔を埋める男にベルトラムは目の前にある耳に舌を入れ、中を犯す。
「お前、何で全部一人でヤろうとしてるんだよ……!」
「無理矢理……っ……ぅ、こっちに、……ん、んん……ひ、き込んじまったヤツに、男のし、り弄れ、とか言える訳ないだろうがぁ……っ」
ぱさり、と髪を振り乱して聴覚を犯す水音から逃れようと浮き上がった男の頭が離れ、睨みつける視線、色眼鏡の下のそれは潤んで、息は荒く、頬は蒸気している。この男の感情は声だけの方が解りやすい、男の声に混じるのは怯えだ。粘膜を掻き混ぜるいやらしい水音に混じる舌打ち、更に深く挿し込もうとするとどうしても逃げようとしてしまう腰に、快楽からも苦痛からも宙吊りの状態に置かれた男は、必死で奥の奥へ、完全にそれに沈みきってしまおうと指を伸ばすが届かない。息を吸おうとするよりも、熱に餓えた場所がきつく締まり、貫いている指を拡げるように回せば脊柱が性感帯になってしまったかのような快感の電流が立ち上がる。全ては自分の体の一部だというのに、最早呼吸一つすら熱に浮かされ、それに忠実な男の体は喜々として犯されることを望み、自由にならない。
声もなくびくびくと震える反応に酷く煽られそうになり、込み上げる感情に目を細めたベルトラムは指先に錯覚する熱に、シーツの上から背を深くずらし、腕を伸ばす。自分以外の物を弄ったことなんて未だ嘗てなかったが、作りは同じ、何処が如何感じるのかはそれこそ自分の体からも生えているのだから解っている。何時の間にか体の上に乗せることになった体が、二つ折りになるのではないかというほどぎくん、と跳ね、握りこんだものはどくどく熱く脈打ち、先から透明な体液をどろどろ零す。これを潤滑油代わりにすればよかったのではないかとベルトラムが男に囁くと、突然沸いて出た直接的過ぎる性感に言葉が出ない男は、意味があるのか、無いのか、頭を横に何度も振る。指で包み込み緩く扱くだけの動きを、先端を強く搾るような動きに変えると、間近の悲鳴が上がった。
「……バーカ、一々そんな事気にしてるんじゃねぇよ、俺とお前はセックスしてんだろうが」
腹の底が重くなるそれにベルトラムは薄く笑い、は、は、と一瞬男の呼吸が戻る。そう、互いに欲しいなら欲しいだけ求めろと約束したばかりではないか。乾いた唇をベルトラムは舐める、耳から脳を揺さぶるような抽入の卑猥な水音が徐々に早まった、荒く漏れ出る息に声が混じり始めた。まるで痛みを堪えるような表情、そう、この表情がベルトラムは好きなのだ、この男は性感に理性を失う事を堪えようとする時、激しい痛みを耐えるような表情をする、だからベルトラムは男が血を流すことに本能以外の何かを疼かせる。躊躇いを無くした指は明確に最も深い場所を広げながら腹の中で蠢き、鉤の形に丸めた指で内壁を強く外側へ引っ掻き、掠れた劣情を煽る声を上げた。
煽られたなら、煽られただけ答え、尽きるまで奪い合い、与え合えばいい。視界の端に映る太腿はがくがく限界を訴えており、ベルトラムは追い討ちを掛ける為に片腕で男のじっとりと汗ばんだ腰を引っ掴み、もう抑えが効かなくなって意思と関係無く快楽を穿り出すだけになった指から逃れられないよう固定しながら、先端をくじっていた男のものを荒く、ただ射精させるだけの無慈悲で機械的なまでの荒さで扱く。堪らずにあえかな悲鳴を上げて仰け反った背を引き寄せ、最も引き寄せたところで放し、限界まで腕を伸ばして男の後ろに指を浅く埋め、爪を立てて引っ掻いた。そう、その顔が見たかった、ベルトラムはほくそえむ。入り口に僅かに含ませただけだというのに、指は奥へ誘う動きに自然と引き込まれてゆく。爪が当たる感触に、男は歯の根を合わせようとして代わりに尾を引く息を吐く。
「出しち……ま、う……っ」
「出せ、よ……っ!」
最後の理性を決壊させる、絞り出すような鳴き声。僅かとはいえ四本目の指を咥え込まされたそこは、内部を外へ引き伸ばすように指を動かされ、淫奔に腰を振って悦ぶ。指先から溶けてしまうほど熱く柔らかい粘膜は、これから先そこに自分のものを挿れるんだと、吸い付く内部がベルトラムを誘い、同時に無理矢理に仕込まれた道外れの疼きが奥底で鎌首を擡げたのが解った。見たかった快楽を堪える表情はいわば中間地点、心の底で望み続けていたのは痛みによる顔でもなく、本当に欲しかったのは快楽に理性の色を失って、本能に染まった、紛れも無い体を繋げあうことでしか獲得出来ない、その表情。前と後ろを同時に責められてはもう限界だった、壊れた蛇口のように口から垂れ流される喘ぎのまま身を捩りながら、一際扇情的な嬌声を上げて男は背を丸め、もう立ち続けることが出来なくなった両膝を落とした。
無理に捻じ込み弄っていた指が抜けて、男のものを握り込んでいた手の中で鼓動が膨らんで跳ね、熱い精液がどくどく手の中に注がれる。完全にベルトラムの上に座り込む形になった男は、完全に堕ちて弛緩しかけた体はもう今にも倒れこんでしまいそうだったがそれを良しとせず、はぁはぁ肩で息をしながら直す余裕も無くなっていた色眼鏡を快楽の余韻に震える指で直し、透明な筋が黒い色に這う。これで終わりではない、その直ぐ後ろに限界までいきり立ったベルトラムのもの、今慣らした場所へ腰を浮かせ、挿れることがまだ残っている。目の前で繰り広げられる痴態、指に絡む精液を見せ付けるように力が入らずひくひく痙攣する腹筋に手を当てる、ぬちゃ、と粘性の水音が腹を汚し、溝に溜まったものが垂れてぞろり、と筋を作った。一頻り白脱色を擦りつけ、同族より薄い色の肌を汚し尽くした後、ベルトラムは力を篭めて男の脇腹に腕を回すと、そのまま横倒しにする。
「しっかり目ぇひん剥いて俺を見てろ」
黒に浮ぶ銀の瞳が炸裂する爆竹よりも苛烈な原色に輝く。これからすることはセックスだ、どちらかがどちらかの体を使ってするオナニーじゃない、混ぜ合い、雑じり合い、交わり合う行為。ベルトラムは男の汗で張り付いた髪を一撫でしてから、腰を掴んでいた手で今度は肩を掴み、圧し掛かると、上を、自分の方を向かせる。薄く乾いて筋が浮いたままの色眼鏡の下にある眼は見えなく、口元は息をするだけで何も解らないが、覗かなくても解る、解らなくても、もうそんなことは大した問題では無い。息を整えるように深い息を吸っては吐いていた男の腕が伸び、今から自分を抱く背に爪痕を付ける為に、誘うような動きをもって当てられた。組み敷かれた体の下、奥まった場所へ導くように足が開かれ、誘うように腰が揺らぐ。その瞬間、ベルトラムの唇が男の唇に喰らい付く。
「上等だ、搾り取ってやる」
ぎらり、ぎらり、と涎を垂らし、舌なめずりをしながら牙を覗かせ、精と愉悦に狂ったような、雄の本能を引きずり出し逆撫でするその表情は、まるで淫魔そのものであって、抜き身の白刃のようだった。
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