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SSS:愛の形は様々です。 [日常編]

此方は浅海由梨奈さんのみ、お持ち帰り・転載可能です。



必要な物は今だけ要りません。

R-13

登場人物:メルヒオル 黄川坂の子
(本当に変態的につき閲覧注意)
(エロくない)







必要な物は今だけ要りません。


既に何度目になったかも数え切れない程注ぎ込まれた精液、それに押し上げられて緩く隆起した腹部は生殖の最終目的を思い起こさせ、メルヒオルはそれを無駄に掻き出してしまわないよう、深く性器を繋げ、あえて抜き差しするのではなく、グラインドさせて内部を掻き混ぜ、射精の予感にひくひく震える熱い肉を掻き分ける。蓋をするよう深く繋がった場所は、喘ぐ気力も無くなった喉の代わりに卑猥な水音を立てはするが、腰を高く上げられた所為で、精液を漏らすことはない。泡立った精液がぷちゅ、と体内で弾ける度、それにすら彼は深い性感を感じて悦ぶ。
弱々しいがはしたなく腰を振って雄を誘う彼に、黒に浮ぶ銀が獣のように細められ、獣のように喉が鳴る。それは人が情を交し合う交接というより、もっと野性的な生殖行為、正に徹底して相手を妊娠させる為の、種付けと呼ばれる行為だった。これは情交ではない、だから込み上げてくる射精感を堪え、相手を思いやった愛撫をする必要も無い。汗の染みたシーツには指の形に皺が寄っているが、今その指は掴まれ押し付けられて以来、自分の下腹の上に置かれ、精液の逆流を防ぐ為の防波堤代わりに使われている。
ぐぐ、と最も深い場所の結合が更に深まり、獣の動きが止まったかと思うと、どくどく、という鼓動と暗い呻き声と共に何度目かも解らない精液が注ぎ足され、細い体が壊れた機械仕掛けの人形の様に跳ねる。声は無い、涙の粒が頬に飛び散り、メルヒオルの腰に強く彼の両足が回った。イッたばかりで甘く痙攣し、子宮へと注ぎ込まれた命の種を運ぶ膣壁に性器の先を押し付けると、まだ尿道に残った精液を擦り付け、搾り出させる。おそらくはもう本能か反射に刻まれているのだろう、口内で舐めしゃぶるような動きは、本人の虚ろな目とは裏腹に貪欲に締め付ける。
力を込めれば簡単に折れてしまいそうな腰を掴んだまま、メルヒオルは余韻に浸り、体液を舌のように味わっていた媚肉が望みのもの全てを受け入れた後、戯れるように絡み付くのを楽しんだ。おそらく彼は自分の体から快感を取り除かれたことすら気付けていないのではないか、静かに閉じられた眦から涙が落ち、口から漏れる息は荒いが弱く、種付けを長く行う為に喰らう精を最小限に止めたというのに、それにしても回数をしすぎてしまったらしい。それでも、まだ此方はイッていない、と勃ち上がったままのものを指で突付き、乾いた唇が苦笑の形に変わる。
「俺の子を孕め」
自由を最も尊ぶ男から与えられる、原初の本能を擽られる絶対的な命令。声だけだというのにまるでどろり、と粘性を持つ含みをもった、触れる腕と同じ様、酷く熱の篭った言葉だった。ぐしゅ、ぐしゅ、と言葉を皮切りに腰の動きが早まる。疲労と纏わり付く性感にもう反応を失いつつある彼、仰向けの腰を高く掴み上げて結合され、背だけをベッドに押し付けられながら、再び加速した性感に善がり泣きすぎて赤くなった頬がまた体液の筋を増やす。
彼の両性の男性部分がふるふる震えているが、メルヒオルはそれに見向きもせず近く置いたものの確認をして、種付けに関係の無い部分は全く弄らない。こんな行為が始まったのは十数日前、人数が増える事は望ましいが、動く事の出来る人数が減りすぎるのも問題だと、一族の間で避妊に関する話題が上がった時か。あの時から時折こうして、メルヒオルは明らかに彼を妊娠させる事が目的としか思えない、ある種の機械的ともいえる性行為を行うようになった。
名残惜しいがそろそろ止めなければ死ぬのは彼だ、引きとめようとする動きに後一回、後二回、という気にさせられながら、膨らんだ腹を見下ろし、一思いにずるりと萎えた性器を引き抜くと、彼の四回前に失われていた声が漏れ、また閉じられたままの金の瞳から涙がぼろりと零れる。掴まれていた腰がゆっくり、心成しか慎重な動きで降ろされ、汗ばんで額に張り付く灰色の髪、シーツに散ったものが動きに合わせてぱさり、と乾いた音を立てた。痺れた脊柱がじわじわ鈍い痛みを伝え、開かれたまま閉じなくなった膣内で重力に合わせて精液がどろどろ流動し、外を目指す。
その時、ばりばり、というあまりにも場違いな、何か布のような荒い繊維質を無造作に破る音が。彼はその音の正体を知っている、頭を起こして形を掴もうとする前に、結合を解かれてやっと開放されていた場所が再び塞がれ、もう直ぐ内腿を這うであろう精液が再び垂れてくることが無くなった。足と足の間に感じる異物感と密閉感、気を取られながら目を動かす、メルヒオルの手にあったものは医療用のテープだった。あれは縫合後の傷を守る為に使う、防水性に優れたもので。思考より早く、二番目に彼の目に飛び込んできたのは、吐き出すことが出来ず、精液で隆起したままの自分の腹部。その時こそ彼は残って居た細い悲鳴を搾った。
「孕んで、産め」
囁く様な二度目の命令、恍惚とした色が滲む甘さを含んだ、腹の底へ響く声。この中には自分の撒いた命の種がたっぷり詰まっている、そう、身を実に好ましい光景にメルヒオルがほくそ笑む。彼が自由にならない体を精一杯動かし、振り解きようがないものからもがくと、余計に胎内の精液が外からも解る水音をくちゅくちゅ立て、にゅるりと感触で存在を主張した。ひりつく喉がもう一度意味にならない悲鳴を搾り、がくがく震える体をメルヒオルは体重を掛けて押さえつけ、宥めるように汗の染みた髪を一撫でした後、指先が柔らかく膨らんだ下腹に乗る。
手の平をじわりじわりとめり込ませて圧迫すると、その手の平に押し退けられる形に下腹がへこみ、空間を追いやられた精液が流動した。動きを追って手の平をスライドさせる、その行為の可能性を知ってか細く立ち上がる声を交え、胎内から粘性の音が聞こえる。撫でる動きが唐突に、塞いだ膣口から子宮に向って押し上げるように精液を動かされ、そんなことは医学的にありえないと知りながら、子宮口に僅かに開いた穴から大量の精液がぴゅるぴゅる直接子宮内に侵食してくる、そんな妄想が彼の脊柱を焼く。
何故こんなことをする、手を伸ばしてメルヒオルの逞しい背中に腕を回すと、その背は彼と同じく激しく汗ばみ、また徐々に芯を持ち始めたものに興奮をしているのだと解る。耳元に荒い息が掛かり、そのまま耳の軟骨を溶かし喰らうように舐めしゃぶったあと、耳穴に舌を入れた。彼の中、唾液の音が脳を直接掻き混ぜているかのように聞こえ、耳全体を強く吸われて完全に抵抗を失う。何故、こんなことをする、こんな。汗ばむ背中は生殖を望んでいるというのに、何故しない、何故お前は焼き切れた神経のままに、本能だけになっているというのに踏み止まっている。
「産んで、育てろ」
興奮に打ち震える三度目の命令、堪えるようなそれを含んだ声は、まるで祈りの言葉のようでもあった。容赦の無い指がこそいで集め、最奥の一点に溜められた精液は、当初あった下腹より上に膨らみを作る。精液の水風船のようになったそこを、今度は手荒く揉まれる、ぬちゃぬちゃと激しく掻き混ぜる音と感触に彼が髪を振り乱す。あまりの激しさに、本来ならそこに至るまで幾つもの篩いに掛けられて大半が淘汰される精子が、子宮を超えた精液は卵管にまで廻って全て受精してしまうではないかと、男のものとも女のものとも解らない感覚に焼かれた脊柱で彼は仰け反った。
なめらかな腹部の皮膚に歓喜を覚えたメルヒオルは、悦びのまま首筋に喰らい付き、歯形を残す。痛みを与える行為に首筋にじりじり痺れが走り、その痺れが全身に広まる、更に強く押された胎内で精液が痛みを覚える場所まで入り込み、今度こそ犯されてはならない領域まで入り込まれたのだと彼は震え、腹の皮膚よりは荒いがしなやかな足をメルヒオルの腰へ回し、汗を伝えた。青い肌、メルヒオル特有の蒼紫色の肌は人より冷たいが、人と同じ様に興奮で烈火に変われる。
ぐるん、と体勢を変えられ、つう、と彼は後ろの穴に指を這わされた。抱え込まれた腹では、まだ精子が蠢いている。きっともうこれは受精してしまったのだろう、あとは体質特有の多くの卵子の幾つが着床するのか、彼はメルヒオルの子を妊娠した、彼とメルヒオルの子を宿した、そう、彼が自覚した時、金の目が精に輝き精神の色が変わる。その言葉には続きがある、だから受け入れた、だからお前の子を孕むこと、産む事、育てる事、全てを望む。焦れたように動かされ、昨晩体を重ねた際に形を覚えこんだ場所が、早くも求めてひくつく。指を入れるまでもない。慣らしも最早必要無い。
誘い込まれるがまま、一気に全てを埋めて快楽と熱を貪ろうとメルヒオルは体重を掛けて圧し掛かり、彼の第二の性器になってしまった狭い場所へ、限界まで怒張したものが入り込んでくる。衝撃に耐える用意もないまま突かれたそこは、最初は驚いたように硬直していたが、直ぐにそれが形を覚えるほど咥え込んだものなのだと解ると、柔らかく絞り上げる動きをして、行為の先を強請った。腰が揺れる、誘われるよりも早く、生殖行為ではなかった無遠慮に叩き付ける抽入が開始され、肉擦れの音が立つ。胎内でまた精液がぐじゅう、と動きに合わせて迸った。
孕みたい、産みたい、育てたい。
「俺と一緒に」
お前と一緒に。彼はがくがくと首を縦に振る。
愛している、とは言われなかった、キスも一回だけだった、それでも彼は、そこに生物の本能と淫魔だけが持つ独特の本能と同時に、全ての飲み込む本能と同等の意味を持った愛を感じていた。
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